日々の気づきノートです。

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「勇気の名言集 第2巻」が出版されました。

勇気の名言集 第2巻
今宿 葦
2022-02-14

ケインズ

経済成長を目的だと勘違いするな

元ハーヴァード大学学長のデレック・ボックの「幸福の研究」を読んでいるとケインズが経済は手段だと言っていることを知ってちょっと驚いた。

幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会
デレック・ボック
東洋経済新報社
2011-09-23


“経済の問題が、それがそうあるべきように、重要でなくなる時期はそう遠くない。そのときわれわれの心のうちは、…真の問題、つまり人生と人間関係の問題、想像と行動および宗教の問題によって占められるであろう。そうして人間は、永遠の問題に直面するだろう。差し迫る経済的心配事からの自由をどう活かすかという問題。すなわち科学技術と福利による資本蓄積によって人間が得た自由を賢明に、心地よく、善良に生きるために、いかに用いるかという問題に。(p87、ケインズ「説得論集」ケインズ全集第9巻)

マクロ経済学の創始者ケインズが今の世界の状況を見たとすれば、恵方巻を半分廃棄しながら経済成長を願う人々を見て、いかに失望することであろうか。

無題

ケインズの予想に反して、未だに人間が経済に縛られ経済成長していないと生きていけないかのような危機感に迫られているのは、手段を目的と勘違いしてしまったことが原因となっている。

「不公平条約の改定」が目的とした手段の「富国強兵政策」が日本の破壊を招き、その「敗戦の破壊からの復興」を目的とした手段の「経済成長」が目的化してしまっている。

もういいかげん、日本の現状をちゃんと見てほしい。人口が減少しているというのに、店には溢れんばかりの商品が並べられ、毎日毎日どれほどの食品や物品が廃棄されている。

経済成長しなければならない、という呪縛から逃れることができれば、その日から自分の周りになるものを見て、「人間が得た自由を賢明に、心地よく、善良に生きるために」動きだすことができるだろうと思う。

戦争を始めるのは誰か その2

第二次世界大戦の序章は、第一次世界大戦の処理にありました。


  • ウィルソン大統領は英仏の要求(賠償金)に屈した。この事実こそが(後に)アドルフ・ヒトラーの主張を呼び込むことになった。ヒトラーは連合国の態度がいかに不道徳であったかを訴えナチスの社会運動に利用したのである。(チャールズ・タンシル“Back Door to War")(p73)
アメリカの第28代大統領ウッドロー・ウィルソン はプリンストン大学総長から政界に転身、ニュージャージー州知事を務めた後、「新しい自由(New Freedom)」を掲げて民主党から1912年の大統領選挙に出馬し、セオドア・ローズヴェルト(革新党)を破って当選し第28代アメリカ大統領(在職1913-1921)となった。この時代は、アメリカ帝国主義の真っ只中にあり、その行き過ぎを是正することが課題であったが、アメリカと第一次世界大戦という困難な課題に直面、戦後にいやおうなく大国となったアメリカを主導する役割を担った。第一次大戦にも巻き込まれた、戦後処理にあたって無賠償・無併合による講和、秘密外交の禁止などを新たな理念とする外交を展開したが英仏の強欲な賠償金要求を認めてしまったのです。
  • ウィルソンが英仏の強欲に屈したことが賠償金額は大きく膨らんだ。ウィルソンは荒廃した敗戦国ドイツにシャイロックのようにたかる英仏両国にはからずも加担したのである。(p74)
そのために戦後ドイツの国民は困窮を窮める。このことがウィルソンの提唱した「国際連盟」の設立という対策にもかかわらず、第二次世界大戦に結びついていくのです。

戦後処理を決める英国大蔵省首席代表として参加したジョン・メイナード・ケインズもパリ講和会議における英仏の強欲な対独賠償要求に反対して辞任した。
  • 復讐心に満ち、ドイツを未来永劫にわたって窮乏化させようとする(連合国の)熱き感情は(あらたな)「ヨーロッパ内線(European Civil War)」を惹起するだろう。(ケインズ「平和の経済的代償」)(p77-78)
残念なことにウィルソンやケインズの予想は見事に的中してしまうのです。
ごあいさつ
日々の生活の気づきから人生の成熟を目指しています。

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今宿 葦
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