日々の気づきノートです。

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過去に読んだ本で気に入ったテクストのアンソロジーです。

「勇気の名言集 第2巻」が出版されました。

勇気の名言集 第2巻
今宿 葦
2022-02-14

2021年09月

「涅槃経」の「不生」と盤珪

先日、谷口雅春「生命の実相 第4巻 生命篇 下」を読んでいると、「不生」という言葉に出会い、盤珪禅師の「不生」と関係しているのかどうか気になり、調べてみました。

生命の実相 頭注版 (第4巻) 生命篇 下
谷口 雅春
日本教文社
1962-08-01


問題の箇所は、

先日『涅槃経』を読んでみますと、「解説を名付けて不生という。譬えば醍醐のその性清浄なるがごとし。如来もまたしかなり。父母の和合によりて生ずるに非ずその性清浄なり父母あるを示現するゆえんはもろもろの衆生を他度せんと欲するがためのゆえなり」と書いてありました。その夢を見なくする、迷妄にとらわれなくする。心が悟りを開いて、その人が自然に仮相の世界へあらわれて来なくなるはけっこうですが、悟りを開かないままで、ただの映って来る道をふさいでおくのでは、その迷いの霊が悟りを開く機会がかえって得られないのです。迷える霊は、影の世界へ影を映じながら、それによって浄められてゆくのです。(p170)

「涅槃経(大般涅槃経)」では「解脱」することを「不生」といっている。これはどういうことなのか。谷口先生の涅槃経の引用だけでは十分に理解しがたいので、涅槃経に当ってみる。地元の図書館で大正11年の原田霊道「現代意訳 大般涅槃経」というのが一つだけあったので頭から読んでみた。



幸運なことに比較的前半の場所にあった。

『世尊よ、涅槃は解脱の意味と云はれますが、その解脱は物質的のものですか、精神的のものですか』
『肉體のあるものもあり、また肉體のないのもある。非物質のものは小乗の解脱で、大乗の解脱には物質の存在を許す。故に解脱にも物質と精神の二つがある。唯諾の學の弟子に非物質と説くのである。
正しきものよ、真の解脱とはあらゆる束縛を脱却することである。真の解脱即も一切の緊縛を脱すれば、父母の和合によつて生するが如き生はない。故にまた不生とも云ふ。また解脱を虚無と云ふことがある。一切の差別的存在を否定し盡した虚無が解脱である。解脱は即ち佛陀である。佛陀は差別的偏見を脱離せるものであるから、解脱は安穏とも名ける。眞の安穏は清浄の處にある。解脱には一切の妄染なく、従つて畏るべき何物もない故に解脱を安穏と云ふ。佛陀もまださうである。(原田霊道「現代意訳 大般涅槃経」、p71-72)

少々、文脈の違いがあるが、言っていることは同じだ。即ち、「真の生命とは、父母の和合によりて生ずるのではない。生命とは元々性清浄なものである(父母が実在するかのごとくに示現するのはもろもろの衆生を救済するためのものである)。だから真の生命を不生と言うのである」ということなのですね。

「般若心経」では「不生不滅」と言うが、盤珪禅師は「不生」一本鎗で貫きました。
ここでは「父母の和合」を引き合いに出していますが、これも「父母未生以前の面目」とつながっています。



こうして「涅槃経」を読むと、どうやら盤珪禅師が「不生」という言葉を使い出したルーツは、「涅槃経」にあるように思えます。

大乗仏教が生まれ「生命の実相」が明らかにされたちょうどその頃にイエスは「アブラハムの生れる前からわたしは、いるのである」と語り、その後すっかり忘れられたが、日本の江戸時代に盤珪禅師が甦らせたのでした。

こういう経緯をたどっていくと盤珪が「仏心」とも「不生不滅の仏心」とも言わず「不生」と一本鎗で言ったことの意味が分かってくるのです。

感染第5波はなぜ急激に減少したのか

政府コロナ分科会の尾身茂会長が新型コロナウィルス感染第5波が急激に減少した理由について5つの可能性について語ったらしい。



その要因として、(1)一般市民の感染対策強化(2)人流、特に夜間の滞留人口減少(3)ワクチン接種率の向上(4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少(5)気象の要因
を上げたという。

しかし、学者にしてはいささかウィルスのそのものの要因についての推測が欠けているように思う。
今回の急激な現象は人間や社会からの要因はむしろ少ないように思う。
それにこの現象が日本全体で見られたこともウィルス自体の要因のようにも思われる。また、インドでも同様の現象が見られた。

そこで私が9月22日に書いた記事で引用した「エラー・カタストロフ」は是非とも要因の可能性の中に入れておかなければならない。



この仮説は1970年代にドイツの生物学者、マンフレート・アイゲンが提唱したもので、ウィルスのコピーした遺伝子をチェックする機能が変異して壊れると増殖のスピードが一旦増加するが、増殖で増えたウィルスは質が悪いため自然に淘汰されるのだというものだ。

たしかに第5波に限らず、感染が広がる度に人間側が特に有効な対策を打っているわけでもないのに不思議に自然を収まっていった。

次の感染爆発も今回と同じようなコースを取るのだろう。そうこうしている内にほとんどのヒトが感染し新型コロナウィルスも人間社会を共生することになる。

何度も言っているように、「コロナとの戦い」といった観念でこの事態に対応している内は社会は混乱するばかりだ。

また、ワクチン先行各国の情勢を見ていると新しいワクチンの有効性に過剰な期待を持つというのは危うい考え方だとも思っている。

日本の労働者の意識

ネット上で日本の労働者のキャリア意識に関する統計を見て飛び上がるほど驚いた。

キャリア意識

アジア太平洋諸国との比較だが、「勤務先の満足度」「仕事の満足度」「昇進に対する意欲」「継続勤務」「転職したいか」「自己啓発」すべて日本がダントツで最下位である。

日本の現在の労働者の気持ちを察するとほんとうに涙が出そうになるが、自分のサラリーマン人生を振り返ってきると思い当たる節も多い。

結局日本の社会システム、特に教育システムが自分の意見を持たずに人に従うことを旨としていることが根幹になるような気がする。

日本のテレビドラマ「おしん」は未だにアジアで圧倒的に支持されているのだろうが、アジア太平洋諸国のイメージする日本人と現実の日本人がこれほど遊離しているとは驚くべきである。

このような人々に今、かける言葉もないが、自分で自分を縛らずとも何とか自尊心をもって自由に生きて行く方法はあるんじゃないか、それを今日から試してみては、と思う。

TPP米中台同時加盟

中国と台湾がTPPに加盟申請したという。



私自身はTPPそのものを評価するものではないが、これは議長国である日本にとっては千載一遇のチャンスだと思う。日本外交にとっては百年に一度のチャンスと言ってもいい。

もともとは中国包囲の貿易協定であったTPPだがトランプによるアメリカの離脱というサプライズがあって、意図せざる方向に走り出した。

中国が加盟に動きだしたというのはさすがだが、台湾の動きもこれまたさすがだ。

アメリカは前政権のやったこととはいえこの動きの中で再加盟という動きも取りづらい。そうなればこの3国に声をかけ得る国といったら、日本しかない。
このチャンスにアメリカの言いなりになっていたら属国のままだ。

3国に同時加盟の声をかけて一気にこの3国の(世界の)緊張緩和につなげてほしい。トランプ政権とコロナ禍が生み出した希有のチャンスだ。
世界の国々の日本を見る目が一気に変わるだろう。それより日本が真の自立ができる最高のチャンスである。

エーリヒ・クライバー モーツァルト「交響曲第39番」

モーツアルトの後期6大交響曲では第38番プラハ第40番については、すでに書いているので間の第39番について書いておきます。

第39番は、モーツァルトの後期3大交響曲の最初のものです。第40番が短調だったり、第41番が最後を飾るジュピターと名づけられたことを思えばやや目立たない存在であるかもしれません。
事もあろうにオーボエを外したり、後期3大交響曲では唯一序奏があったりと他の交響曲と違った特色もありますが、全体に少しくすんだ印象があり「白鳥の歌」と呼ばれることもあるという。
第4楽章の最後突然終わるという意外感はモーツァルトの「白鳥の歌」としてのインスピレーションであったかもしれません。



演奏はエーリヒ・クライバー指揮のケルン放送交響楽団で1956年1月の録音です。クライバーはこの1月27日に亡くなっていますので、まさに死の直前のエーリヒ・クライバーにとっても白鳥の歌ともいうべき録音です。

エーリヒ・クライバーは1890年8月ウィーン生まれ。プラハ大学で哲学と歴史を、プラハ音楽院で作曲を学んだ。1911年、プラハ歌劇場で指揮デビュー。1912年、ダルムシュタット宮廷歌劇場を皮切りに、デュッセルドルフ、マンハイムなどの指揮者を歴任。1923~33年、ベルリン国立歌劇場音楽監督。アメリカ人のルース・グッドリッチと結婚、1930年に息子カール(カルロス)をもうける。1934年、ヒンデミット事件でフルトヴェングラーを擁護し、ナチスに反対して歌劇場を辞任。アルゼンチンに逃れる。1948年、ロンドン・フィルに客演してヨーロッパに復帰した。

元々オペラを得意とする指揮者で、ウィーンフィルのフィガロの結婚の指揮が伝説的名盤ですが、録音は少ない(1956年6月録音)。
この録音が彼の人生の最後に残されたのは、われわれにとって奇跡のような贈り物といえるでしょう。
ごあいさつ
日々の生活の気づきから人生の成熟を目指しています。

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今宿 葦
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