日々の気づきノートです。

姉妹ブログ「勇気の出る名言集」を始めました。
過去に読んだ本で気に入ったテクストのアンソロジーです。

「勇気の名言集 第2巻」が出版されました。

勇気の名言集 第2巻
今宿 葦
2022-02-14

2019年11月

姫路交響楽団 第82回定期演奏会

毎回楽しみの姫響の定期演奏会です。今回は、メンデルスゾーンの交響曲第4番イタリアとリムスキー=コルサコフの組曲「シェヘラザード」です。

演奏会チラシ。

IMG_20191130_0001

いつもながら立派なチラシです。シェヘラザードの語る「千夜一夜物語」の登場人物、シンドバッドの冒険をイメージした帆船です。

一方の、整理券は、なぜかピラミッドがテーマになっています。

IMG_20191130_0002

「千夜一夜物語」はペルシャのお話なのでエジプトが登場するかどうかは知りません。いずれにしても毎回、念の入ったチラシと整理券です。

11月24日(日)14時開演なので間に合うように妻と自転車で会場に向かう。

いつもの文化センターの巨大な建物。

IMG_5967

ロビーに入ると、展示があって、「姫路市文化コンベンションセンター」の建設計画を説明している。

IMG_5968

模型もあるが駅の東にできるらしい。

IMG_5969

早くも建設が始まり、2021年開館だそうな。

この文化センターの建設が1972年だから建設後40年以上経っているので建て替えをというゼネコンの強い要望があったものだろう。
それにしても、ヨーロッパで文化施設が数十年で建て替えるといったら、なぜと聞かれるでしょう。ウィーンの国立オペラや楽友協会を建て替えると役所がいったら市民が猛反対するし、そもそもウィーン市がそんなことを言い出すはずもない。

考えてみたら、数十年で建物を建て替えるという日本の伝統は異様だ。姫路城や円教寺はなぜ立て替えないの?早い話、建設するときに何百年の建設という信念や気概を持っていないんだろうと思う。

今の市民会館の前にあった公会堂などは何百年先を考えて建てられてという気概が感じられたものだが。

招待状を渡して、入場。プログラムをもらう。

IMG_20191130_0003

チラシに比べてスッキリしたデザインになっています。

チラシでは「シェヘラザード」、「イタリア」の順番になっていたが、プログラムでは逆にイタリア、シェヘラザードの順になっている。

席は余裕があるが、2階席の一番前で聴くことにする。平土間で半分くらいの入りです。いつもよりやや少ないような。

IMG_5970

最初はメンデルスゾーンのイタリアです。フェリックス・メンデルスゾーンは、ユダヤ系の家庭に1808年ハンブルグに生まれる。ドイツの作曲家だが、バッハ、モーツアルト、ベートーベン、ブラームスという本流のドイツ音楽からは少し離れた音楽という印象がある。
ブラームスも1833年に同じハンブルグで生まれるが、後にウィーンに移る。メンデルスゾーンはブラームスよりも15年も早く生まれているがその音楽はブラームスより先の時代を行っていた。
メンデルスゾーンはライプツィヒに移りバッハの復興者となったが、彼の作品は音楽はぶっとんでいた。これもバッハの音楽の普遍性を示しているように思う。

メンデルスゾーンは改宗したがユダヤ人であったことで差別や排斥を受け、死後もナチス時代にも排斥される。

おしくも38歳の若さで亡くなるが、シューベルトの31歳というのもあるので天才には年令は関係ないのかもしれない。後世に残すべきものはきっちり残してくれている。

オーケストラ編制は最小のものでモーツアルトの交響曲と同じような規模です。
前回は弦楽パートの配置を変えていたが(第二バイオリンが右サイド)、今回は以前と同じような配置に戻って(第二バイオリンは第一の横)いました。

軽快な演奏で気持ち良く聴けました。実に清々しい、いい曲だとあらためて思いました。
第二楽章でグスタフ・マーラーの音楽に似た旋律があり、きっとマーラーはメンデルスゾーンを意識していたに違いないと思った。

予習用には、若き日のロリン・マゼールがベルリンフィルを振った1960年の名盤。AIのおかげか信じられないほどのクリアな音質です。


15分の休憩があって、後半のリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」です。

全曲通して聴いたことがないのでYoutubeで予習。
検索してみると色彩感が豊富な音楽で、アメリカのオーケストラの音源が多い。
多くの候補の中から、フリッツ・ライナーのシカゴ交響楽団の演奏を選ぶ。


これもマゼールと同じ1960年の録音。こちらもクリアな音質で、60年前の録音とは到底思えません。
いまや、過去の名盤が無料で生き返った音質で楽しめます。

この曲では、独奏バイオリンとハープが重要な役割を果たす。ハープは前半からバイオリンの後ろあたりに置かれていたが、奏者が準備時間の最後まで音の調整を行っていたのが印象的だった。考えてみれば、オーケストラはオーボエの音に合わせるが、ハープは、オーボエの音が鳴った時に音が違っていたら直しようがない。

色彩感あふれる音楽を最後まで熱気のある演奏で楽しませてくれました。

管楽器と打楽器の迫力は二階席でも十分伝わりました。

観客の拍手に応えてアンコールはメンデルスゾーン「結婚行進曲」でした。抜群の選曲に毎回感心してしまいます。

楽員たちも腕がなれて熱のこもった演奏で、あまり素晴らしかったので、アンコールでしたがブラボーを叫んでいました。

深まる秋の演奏会、いい音楽に勇気をあたえられました。

黒田伊保子「妻のトリセツ」

妻との関係を良くしたいと考えている男性には有益な本に出合いました。
日頃、妻との関係で疑問に思っていた、なぜそこで急に怒り出すのかという理由が、男女の脳の機能の違いにあるのだというのです。



そもそも妻の怒りの理由は、「今、目の前で起きていること」だけではない。過去の関連記憶の総決算として起こるものなのである。(p4)

なぜそんな総決算をする必要があるかというと、子を産み育てるという重要な使命から来ているのだという。
子を産み育てる段階でのリスクを取り除くためには、過去の経験すべての記憶を総動員して危機を乗り越えようとする脳の神経回路ができているのだそうだ。

その結果、危機に当ったとき、妻は過去の記憶をすべて呼び出そうとする。その結果、過去の夫の過ちすべてが現在に引き出される。その結果、夫にひどく厳しいわりに子どもやペットには異様にやさしい、という行動を取るのだという。なんとなく分かるような気はする。

だから男はこのことをしっかり理解したうえで妻に接することが必要である、とのことです。これは大変有意義なアドヴァイスです。怒りは先方の脳の都合であって、必ずしも男の行動が決定的に悪かったわけでもないかもしれない。しかし、そうだからといってあまり甘く対応しているとさらに関連記憶が堆積して次なる激怒につながってしまう。

妻が理不尽なことを言って夫をなじるのは、心の通信線を開通させようとする切ない努力なのである。いくら「正しい事実」を言い聞かせても永遠に妻は納得しない。(p96)

この真理を知った以上、結論としては、男は意地を張らずに謝ってしまうことだ。

ところで、女の系列はこのように次世代に引き継がれていくので、自我が過剰に肥大していくことがある、という。娘の自我が過剰にならないようにコントロールしていくのが、父親の仕事だという。これはわが身にふりかえって、できていないと反省して謝らざるをえません。
この消息について黒田さんは、実にいいことを言っている。

少女が大人になるということは、この過剰に肥大した自我が、等身大に見えるまでの道のりだ。客観性を養い、自分が思うほど周りは自分を気にしていないことを、娘は思い知らなければならない。(p49)

学ぶべきことばです。最近は、男女に限らず自分自身の自我に振り回されて苦しんでいる人を見ることが多いが、ほんとうに気の毒なことだと思います。

最後に全国の夫にたいして最良のアドヴァイス。

いい夫とは、「おおむね優しくて、頼りがいがあるが、時に下手をして妻を逆上させる男」にほかならない。

このような夫を目指して精進したいものです。

山田太一「岸辺のアルバム」

台風19号の被害と八千草薫さんの逝去の報道を聞いてから「岸辺のアルバム」をもう一度読んでみたくなり読んでみた。



本棚から掘り出した本は、36年前の文庫本の初版なので、まだ結婚する前に読んだ本です。ドラマは見た記憶がないのだが、ドラマ当時の八千草さんはこんな感じだったらしい。

画像

小説では39歳、TVでは42歳の設定ですが、この時、八千草さんは46歳。顔に一つの皺もなくスベスベです。

ドラマはバブル期の「金妻」で不倫が流行るより前のバブル発生の前段階ですが、この本を読めば、すでにこの頃から資本主義は暴走し、家族は崩壊しかかっていたことを暗示しています。

田島則子は専業主婦、夫の謙作は商社の部長、長女の律子と長男の繁の当時の典型的な核家族です。

ふとしたことから則子は家族持ちの男性と不倫に陥るが、夫の謙作は仕事に忙しく、律子は自分のことにしか関心がない。高校生3年生の繁は成績がイマイチで暇な分家族のことを気にしている。繁は母の不倫に気づき、家族の立て直しを図ろうと心を配る。
そんななか、律子がアメリカ人のボーイフレンドの友だちにレイプされ、謙作の会社は破綻しかかる。

当時のドラマとしてはぶっ飛んでいるが、確実にバブルとその後の時代を先取りしている。

このドラマでは、水害で家を失ったことにより家族は再生するが、現代の家族の多くはこのような事態に対して復元力を持っていないだろう。

家族のアルバムは、その後の阪神大震災や東日本大震災でも話題になるが、家族の原点であるアルバムに注目した山田太一の眼力はさすがだと思った。

結末を明るくした最大の功績者は繁だが、現代そのような若者が家族の中にいるだろうか。親に信念がないのに子どもに信念を持てというのは大人があまりにも無責任だと言われてもしかたがない。

最後に家族4人で岸辺を歩きながら謙作が言う。

「おい、話は終わった。待っていろ。四人で並んで帰るんだ」
短い幸せな時期かもしれなかった。
まだ力を失っていない濁流の傍を、四人で上流へ歩いた。

「まだ力を失っていない濁流」
これから先の日本社会を暗示していたようで怖い。

仏教は科学だった

日本の仏教は大乗仏教なので信仰だと思われているのですが、実は科学(哲学)でした。
歴史上の人物である釈迦(ゴータマ・シッダッタ)が悟ったのは人間の不幸は縁起(原因と結果)によって起こるということを発見したことが起こりだったからです。

画像

ゴータマは、生きることに苦しみ、王子の位と家族を捨てて出家し、修行生活に入ります。6年間の苦行で死の淵に立つが、ガヤーの村娘スジャータに乳粥を食べさせてもらい、一命をとりとめる。この時に縁起の法に気づきました。
何も苦行をしなくても、縁起の法を知れば苦から逃れることができることに気づいたのです。これが仏教の起こりです。

ブッダの死後、弟子たちによってブッダの教え(仏教)は広まるが、ブッダの死後数百年後に「縁起の法」を知るだけでは救われない人々が多くなってきた。

人間は上位者に守ってもらわないと安心できない存在です。そこで、縁起性を「空」、上位者の超越性をブッダ(仏、仏性)として偶像化した。これが大乗仏教です。

大乗仏教における超越者としてのブッダ、阿弥陀仏、廬舎那仏、薬師如来…などは、存在を証明することは不可能ですが(他の宗教における神も同じ)信じ込んでしまえば悩み苦しみから脱却できるのであれば、役立つといえるわけです。

江戸時代までは、大乗仏教の超越者を信じて安心できた日本人たちも明治の近代化で科学万能の現実の前に、存在を証明不可能な超越者を信じることはできなくなりました。

今や資本主義(お金)と科学技術がもっとも信頼できる信仰の対象となってしまいました。しかし、資本主義と科学技術は超越性を持つものではないので人間に究極的な救いを与えることができません。そんなわけで、巷は迷いの衆生であふれています。

現代に生きる迷える有情たるわれわれは、再びブッダの教えにもどり、「縁起の法」を学び直し、それでも救われなかったら超越に出会うしかありません。
画像

GSOMIA延長の先にくるもの

11月22日GSOMIAの廃棄が土壇場で回避されました。

 

GSOMIAの問題については、以前も書きました。



論理は、クリアです。日本政府も徴用工の個人請求権が存在することを認めていた。三権分立の確立した近代国家に対して、裁判所の判決を変えることをその国の政府に求めることはお門違いであることは明らかです。

今回の決定は、アメリカ政府が自国の短期的国益を理由に韓国に猛烈な圧力をかけたことによるものだと思われます。

私が懸念するのは、アメリカの国益を理由にして取って来た外交が長い目でみて国益を損じてきたという歴史です。

アフガンのタリバン支援の結果が同時多発テロを誘発し、イラク戦争を招いたことを見ただけでも、短期的な国益を優先したことがいかに世界の安定を損なってきたかを知ることができます。

今回のGSOMIA問題に対するアメリカの対韓圧力がこの先どんな結果をもたらすか、ちゃんと検討されていたのだろうか。今回の一件で、韓国政府や国民のアメリカ政府に対する反感は高まったことだろう。
今回のアメリカの取った行動による韓国国民の反感がうむマイナスの波動と、GSOMIA継続によって得られる情報がどのような結果をもたらすか注意深く見守っていきたい。
ごあいさつ
日々の生活の気づきから人生の成熟を目指しています。

幸せ職場の考え方は、
幸せ職場
をご覧ください。

「勇気の名言集 第2巻」が出版されました。

勇気の名言集 第2巻
今宿 葦
2022-02-14
アーカイブ
Yoshiのアーカイブ
Yoshiの他の媒体の過去記事は、以下のリンクでご覧いただけます。
勇気の出る名言集
ギリシア・アルプスの旅
田捨女の不徹庵手記
安全文化論
よそみの楽しみ
最新コメント
メッセージ

記事の内容に関するご意見・ご質問、お問い合わせ等はこちらへどうぞ。

名前
メール
本文
アプリでフォローする
QRコード
QRコード
サイト内google検索
記事検索
yoshiのtweet