クロポトキンは、種族内の倫理と他の種族との関係における倫理との二重性の問題と戦争についての重要な関係を議論します。
大きな戦争のある度に国際的な関係改善のための枠組みが作られるが国際紛争が止むことはありません。
果たしてこのジレンマから逃れる方法はあるのでしょうか。
- 蒙昧人の生活は、二重の行為に分たれ、相異なる二つの倫理的方面を呈する。すなわちその一は種族内の関係であり、他の一は種族以外のものとの関係である。そして、その「種族内」の規則は(われわれの国際法と異なっている。されば一朝開戦となれば、もっとも戦慄すべき残忍も種族の賞讃を要求するに足るものと見做される。道徳上のこの二重概念は人類その全進化を通じて今日に至るまで維持されてきた。われわれヨーロッパ人は、この倫理上の二重の観念を捨てるために多少のーーはなはだ大なると言えないーー進歩を実現した。しかし、かくしてわれわれは、ある程度にまではこの団結の思想を(少なくとも理論上には)一国民全体に及ぼし、さらに幾分かは、他の国民にまでも拡張したのであるが、同時にわれわれはまた、国民の国民内の団結、自己の種族内の団結を滅殺したのである。(p135-136)
大きな戦争のある度に国際的な関係改善のための枠組みが作られるが国際紛争が止むことはありません。
果たしてこのジレンマから逃れる方法はあるのでしょうか。
- 人類のいかなる時期にも、戦争が生活の「正規の」状態であったことはなかった。(p136)
- 人類は自然界の一例外ではない。人類ともまた、生存の闘争においてもっとも善く互いに助け合うことを知っているものにもっとも善き生存の機会を与える、かの「相互扶助」の大原則に従うものである。(p141)