日々の気づきノートです。

姉妹ブログ「勇気の出る名言集」を始めました。
過去に読んだ本で気に入ったテクストのアンソロジーです。

「勇気の名言集 第2巻」が出版されました。

勇気の名言集 第2巻
今宿 葦
2022-02-14

2016年12月

平成28年を振り返って

早いもので今年も終わろうとしています。
かつては一年の終わりというものに感慨を持ったものだけれど、最近はそういうものを感じることがあまりなくなったように思う。あんなことがあった、こんなことをした、といったことをしみじみと思うこともない。
なぜかと考えてみると、毎日がそれぞれかけがえのない日であって、充実しているからだろうと思う。だから何か一日や一年の目標があるわけでもなく、一日を終えて眠りに就く時も、感謝以外の思いはなく、何の悔いもない日々を送らせてもらっている。

だから、もし今、人生が終わるとしても何の悔いも残らないだろう。

そういえば、この頃、不足だとか不満だと思うことがほとんどなくなった。かつては自分がこうあるべきだとか境遇に対して不足や不満を感じることがあったが、最近は自分のありさまや与えられたことに対して不足を感じることがない。
朝、目が覚めた時も、感謝で新しい一日を迎え、朝ご飯をおいしくいただき、お茶を楽しみ、好きな本を読み・・・。
いわば、今を楽しめるようになったのだと思う。

そうだ、今を楽しめるようになったと言っていいだろう。

人からあなたは何を目標に生きているのか、とか聞かれたらこう答えよう。今、新しい気づきを喜び、感謝していると答えよう。

「マノン・レスコー」を観る

しばらくサボっていた取り貯めのビデオを観ることにする(12月24日)。
今回は、1997年5月31日、クライボーン音楽祭のプッチーニ「マノン・レスコー」です。
アディーナ・ニテスク(マノン)、パトリック・デニストン(デ・グリュー)、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮ロンドン・フィル。
輸入盤ですが、DVDも出ています。
図2

「マノン・レスコー」は、ジャコモ・プッチーニが35歳の時に発表した第3作目のオペラで1893年にトリノで初演。プッチーニの出世作です。
原作は、アベ・プレヴォーの小説『マノン・レスコー』で、プッチーニ以前にもジュール・マスネが「マノン」でオペラ化している。マスネの他にもオペラが存在していたとのことでヨーロッパでは有名なドラマ。

恋愛悲劇で、なんでこんなバカな人生を送るのか、というストーリーなのだが、ドラマというものは常にバカな人生を取り上げる。人間というものは理屈では理解できない行動で自分を表現するものだ。あまりこういうドラマに共感することはないのだが、プッチーニのオペラは曲そのものの美しさが素晴らしいので、歌を聞くことそのものを楽しむことができる。

タイトルロールのアディーナ・ニテスク(Adina Nitescu)はルーマニア出身のリリック・ソプラノ。
プッチーニの他の蝶々さん、トスカ、ミミを得意とするとのこと。
ネットを探すと、私の見た公演の動画がありました。第二幕から「この柔らかなレースの中で」。


テノールのパトリック・デニストン(Patrick Denniston)はアメリカのテノールらしいが詳細はネット上では見つかりませんでした。

休日の午後、音楽で楽しませてもらいました。

資本主義と依存症

IR法について思ったことを記事にしたが、反対意見は依存症対策が不十分だ、という声を聞いた。
以前の記事では、
  • 「カジノについて言えば、日本は世界に冠たるギャンブル社会です。公営ギャンブルが平日の白昼堂々と行われ、パチンコ、クジも目につくところどこにでもある。これ以上少々のギャンブルが増えたといって、社会的影響はどう考えても限定的なものであるのは誰が考えても明らかだろう。
というような事を書いたが、考えてみると今の日本社会のような飽和した経済では、経済成長のためには、ギャンブルに限らず人間のあらゆる行動が依存的になる、極端に言えば依存症になることを期待されて設計されているように見える。
実際、マスコミやネットを賑わす100%に限りなく近い情報はあなたを依存症にしようとして誘惑しているようにしか見えない。政府のホンネも経済成長のためには、国民に少々依存症になって欲しい、と言っているように聞こえる。

阿漕な話ではないでしょうか。国民の不幸を元にした経済成長というのが果たして意味があるものなのだろうか。何の疑問もなく経済成長が良いとするような議論に騙されてはいけないと思います。

何かに依存しようとする人(あるいは依存症になってしまった人)は、自分で選択できないから人に選択してもらおうとする。そしてその結果の責任を他人に転嫁している人が多いように思います。

自分で選択し、自分で責任を取る覚悟さえあれば、他人への依存どころか他人からの支配を受けることもなく自由な人生を送れるのです。ありがたいことじゃありませんか。

老人介護プログラムについて思ったこと

92歳の母は週に一回デーケアに通っている。年に2回、母と地域包括センターの担当者とデーケア職員との面談があり、私も昨年から参加している。
この会合は、被介護者の状況と介護プログラムが見合っているかどうかを確認するために、年に二回行われていて、約半時間程度の面談です。

全体の確認が終わって包括センターのケアマネージャーから母に「何か問題がありませんか?」との質問があったときに、母が「皆勤賞の張り出しの名前の字が小さかった」と苦情を伝えた。母の名は漢字3文字なので枠に入れるのに小さいフォントのする必要があったのだと思うが、デーケア施設の職員は、改善すると答えた。若い男性ですが優しい受け答えでした。

私は、このやり取りを聞いていて違和感を感じた。
そもそも、92歳にもなって未だに自分の名が小さいといって不満を感じる母の姿と、母のクレームをごもっともと受け入れる介護職員の姿ってはたしてこれでいいんだろうか、ということ。
考えてみると、デーケアのプログラム自体が老人が退屈せず時間を過ごすことを目的としている。そのため、利用者の自我欲求の充足を目指した活動が多い。これは確かに資本主義経済の原則に叶った方法ではあろう。

しかし、このような方法では、利用者たちが自立を目指すより他人への依存性を増長させることにしかならないのではないだろうか。
母には、一人の人間として尊厳をもって一生をまっとうしてもらいたいと思っているのだが、このやり取りを聞いていて余りに情けなかったので、その気持ちを伝えたところケアマネージャーはなるほどと同意してくれたが、現場では決まったプログラムの消化に汲々としているのが実情らしい。
1日のデイケアで一人2万円以上の費用がかかるという。テーマパークの入場料の4倍の費用をかけて老人の自我と依存心を増進しているとしたらこれほどもったいない話はない。

現状を改善することは簡単な話ではないが、まず自分自身でやれることとしてこれから歳を取っても出来る限り自立して生活し、少しずつ自我を消していき最期は、感謝しながらこの世に別れを告げていこうと強く思いました。

国境問題を考える その3 完



国境問題に対する日独のアプローチを比較するとその違いに驚く。ドイツの採用した考え方を学ぶことが北方領土の今後の対応に有効ではないだろうか。
  • ドイツは国土の返還を目指し、平和条約交渉を行おうとはしていない。棚上げし、ドイツ・ソ連(ロシア)関係を発展することを重視した。他方日本は領土を取り戻さなければならないとして、平和条約交渉を日ソ間の主要課題としてきた。(p191)
しかし、日本はそれまで各国との国交回復のプロセスにおいては、国境問題は棚上げしてしてきた。
  • ソ連、中国、韓国の国交回復の時、日本は実質的に領土問題の棚上げで処理してきた・・・問題は、日本政府がその事実を丁寧に国民に説明していないことである。(p194)
実際、尖閣諸島問題で中国ともめた時(たしか尖閣列島を国有化した時)、中国側から尖閣諸島の領有権問題は棚上げされている、との指摘があったと思う。日本は外交スタンスと一方的に変更したと言われてもしかたのない行動であったのだ。時の野田政権の判断であったのだろうが、過去の経緯に詳しい外務省の外交官たちは一体何をしていたのだろうか。

現在の政権内部には力の外交で勝利しようという向きが多いように思うのですが、そもそも国際関係における「勝利」とは何を意味するかについてどう考えておられるでしょうか。
  • “勝利”という概念は、敵対する者との関係ではなく、自分自身がもつ価値体系との関係で意味を持つ。このような“勝利”は、交渉や相互譲歩、さらにはお互いに不利益となる行動を回避することによって実現できる。相互に被害を被る戦争を回避する可能性、被害の程度を最小化する形で戦争を遂行する可能性、そして、戦争するのでなく、戦争をするという脅しによって相手の行動をコントロールする可能性、こうしたものがわずかでも存在するならば、紛争の要素とともに相互譲歩の可能性が重要で劇的な役割を演じることになる。(p198、トーマス・シェリング「紛争の戦略」)
日本の外交官の皆さんも、シェリングの言葉を思い出してもらいたいものです。

必ずしもうまく行っているとは言えない、日本の外交問題ですが、重要なのは、
  • いかに関係が悪く、外交関係が存在しなくとも、双方に「最悪の関係に行かない」という共通の利益がある。この共通の利益の存在が重要である。(p205)
この観点は国家間の問題だけではなく、人間関係にも応用できそうです。

最後に孫崎さんが日本の国民に向けて重要なメッセージを送っています。
  • 領土問題の重要なポイントは、領土問題をできるだけナショナリズムと結びつけないことである。(p230)
この指摘との反対に為政者たちは、支持率向上のためナショナリズムを領土問題に結び付けたがるものです。それにノーと言えるのは国民だけです。賢明な国民のみが賢明な政府を持つという由縁なのです。
ごあいさつ
日々の生活の気づきから人生の成熟を目指しています。

幸せ職場の考え方は、
幸せ職場
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