大坂なおみさんの手記を読んで衝撃を受けた。22歳にしてこれだけ知的な文章が書けるとは、ひょっとしたらテニスどころじゃない知性を持った人だということがわかりました。



この手記はこのように始まる。

私の名前は大坂なおみです。物心がついたころから、人は私を「何者か」と判断するのに困っていました。実際の私は、1つの説明で当てはまる存在ではありませんが、人はすぐに私をラベルを付けたがります。

自身のアイデンティティの危機があったことを素直に認めています。

今まで彼女は単にテニスの好きな女子だったのだが世界一になって、忙しさにまぎれて考える機会がなかった。ところがパンデミックで「私たちは当事者として、物事を考えるべき」ということに思い至り「今こそ自分自身の意見を語るときだ」と悟った。

そして、「ジョージ・フロイドが警察によって拷問、殺害される事件を目の当たりにし、行動する必要性を感じ「行動を起こさずにいることは、もう終わりにしよう」と考え、ミネアポリスに行き、反対運動に加わった。その行動の中で自分自身が「バイレイシャル(両親の人種がそれぞれ異なること)の人々、特にバイレイシャルのアスリートというのは日本の未来を担う存在であ」ることに気づいた。

彼女が日本籍を選択していることを不思議に思っていたが、彼女の中にこんな思いがあったことを知って驚いた。

また、彼女は日本で受けた人種差別があったことにも言及している。

日本はとても均質的な国なので、人種差別に立ち向かうことは、私にとってはとても大変なことでした。

言いにくいことだったと思うけれどよくぞ書いてくれたと思います。
最後に日本社会へのメッセージが書かれています。

同時に人々の認識や世論の変化に、自分が少しでも役に立てることを誇りに思っています。日本の教室にいるバイレイシャルの女の子が、私がグランドスラムを制覇したときのような誇らしさで輝いてほしい。彼女にとって校庭がフレンドリーな場所であり、誇りをもってロールモデルを目指してほしいと心から願っています。そして、大きな夢を持ってほしいのです。

バイレイシャルだけでなく、日本にも多くの差別問題がいたるところに存在しています。大坂さんの言葉を受けて、われわれは目の前の問題に対し行動を取らなければなりません。