香港の民主化活動家の周庭さんが8月9日に逮捕され、10日深夜に保釈された。



この保釈は世界からの抗議の反応かもしれないが、ひょっとすると香港政府としては織り込み済みだったのかもしれない。そもそも国安法は遡及適用されないため、周庭さんは法の発効前から活動を停止していたのだが、香港警察も百も承知で逮捕したのかもしれない。民主活動家たちの海外逃亡を促そうということか。

香港政府は世界の反応を見て対応を変えているようだが、その点では日本の現政権より柔軟と評価することもできるのかもしれない。

国安法の報道を聞いて思い出すのは、大日本帝国時代の治安維持法である。中国政府は戦前の日本の失敗をしっかり学んで今後の国のハンドルを操作してほしいものだ。
政府が反対者の行動を恐れて治安維持法により強権的に言論弾圧し、国民の民主的意見を聞かなかったばかりに日本を破滅に導いた。

中国政府も香港の民主化運動が天安門事件のような運動になることを恐れたのかもしれないが、国民の多様な声を聞くという民主的な方法をうまく政治システムに取り入れることができなければ、大日本帝国の二の舞になるだろう。国の中で何よりも強いパワーを持つのは国民である。

私は香港の中国への返還によって、香港が中国化するのではなく中国が香港化するのだと予言したが、本当にそうなってくれないと、中国の破滅につながりかねない。
中国国民は、経済成長によって物質文明を謳歌しているが、その次ぎに求めるのは自由だ。民主主義を国の制度にうまく組み入れないと国を維持することが難しくなるだろう。権力だけで国と統治することはできない。

ところで、戦前に独裁政権の暴走で一旦破滅した日本だが、戦後の日本国憲法をちゃんと消化して民主主義をうまく運用するところまで成熟する前に、政府が国民の自由を制限できるよう(緊急事態条項)憲法改正しようという政権が生まれるまで劣化してしまった。

一体、われわれ人間というものはどれほどまでに歴史から学ばないのだろうか。