現在日本は世界に先駆けて、人口減社会に移行している。
人類は、イノベーションにより生産性が向上した結果人口が急激に増加したわけだが、ここにきて世界的な人口増加が足止めしているという。
人口が少なくなっているのだから経済成長をする必要もないと思うのだが、焦る人々は無理に経済成長を求めて社会がハチャメチャになっている。

そんな世相で先行きを心配する向きが多いが、それをチャンスだと見なす人もある。
広井良典さんの「人口減少社会という希望」には目を開かれました。


この本では人口減少という動向の人類史的考察から転換期をどう生きるべきかという示唆に富んでいるが、近代文明における政治思想についても詳しく解説がなされている。
私がよく分かっていなかったことなので、とても参考になったので備忘録として書き留めておきます。

「保守」=保全(conservation)に基本的な価値を置く。環境政策に親和的

「自由主義」=独立して個人の自由を追求。経済的には市場経済を重視

「社会民主主義」=「個人」を基本にする点は自由主義と通ずるが、格差や環境破壊などが生じるので政府ないし公共部門が積極的に関与し、再分配、規制を行う。

保守=共助、自由=自助、社民=共助というふうに整理できる。(p97-98)

アメリカとヨーロッパでは「リベラル」についての考えが
「リベラル」ヨーロッパでは文字どおり自助主義。アメリカでは「保守」に対照される概念で、むしろ格差の是正や公共事業に重点を置く。

アメリカでは民主党は社民に近いが、「社会主義」を連想させる面があり、「リベラル」の意味が変容し、市場経済に対して政府が一定の介入や是正を行う立場を包含した。→リバタリアニズム

全体をまとめると、以下のような表になる。

IMG_20200213_0011-001

ところで日本の現在の自民党の姿を見るとどうかというと、伝統的かというと、開発主義で「美しい日本」と言いながら一貫して美しかった日本の風景を破壊することを主導してきた。
また、政治に関しても日本の自立を目指すより「不沈空母」などといって一貫してアメリカ従属の路線を貫いてきた。
もっともその姿を露わにしているのが沖縄の辺野古の埋め立て工事と言えるのではないでしょうか。
こういう政党が「保守主義」と名乗ること自体が欺瞞であると言わざるを得ないのである。